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リカレント教育(学び直し)とは?言葉の意味や、やり方などを紹介

作成者: pathmake|Oct 31, 2023 12:02:07 PM

近年、キャリアのステップアップを考えるうえで「リカレント教育」という言葉への注目が高まっています。

リカレント教育は「社会人の学び直し」という意味があります。本記事では「学び直し(リカレント教育)」の定義やメリット、学び直しの方法について詳しく解説します。

社会人の学び直し「リカレント教育」とは

「リカレント教育」とは、社会人が仕事で求められる能力・スキルを教育機関などで学び直すことです。「リカレント(recurrent)」には繰り返す、循環するという意味があります。

社会に出た後も適宜学習をし、「仕事と学習」を繰り返すことで、更にスキルアップをしていきます。

リカレント教育は「仕事をする期間」と「教育を受ける期間」を繰り返すため、教育を受ける期間には一定期間仕事を休むことが一般的です。ただ日本では、仕事を休まずに学ぶスタイルもリカレント教育に含まれることもあります。

現在の日本では、少子高齢化や情報技術の発展により、働く環境が急速に変化するようになりました。ライフスタイルに応じて働き方が多様化し、企業からは専門的なスキルを求められるケースもあります。

こうした変化に対応するためには、社会人が仕事に活かせるスキルを主体的・継続的に学び直すことが重要です。社会でも「リカレント教育」への関心が高まっており、政府も支援制度を整えています。

リカレントとリスキリングの意味の違い

「リカレント」と混合されやすい言葉に「リスキリング」があります。

リスキリングとは、新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得することをいいます。

リカレントとリスキリングのそれぞれの違いは次の通りです。

 

項目

特徴・手段

目的

リカレント

・自分が主導

・教育機関などで学習する

仕事で求められる能力・スキルを学ぶ

リスキリング

・企業が主導

・企業研修の枠組みの中で教育する

業務で必要な新しい知識・スキルを学ぶ


どちらも「社会人の学び」を意味していますが、大きな違いは学習方法です。

リカレントは自主的に教育機関などで学習するのに対し、リスキリングは企業が従業員に対して研修などで教育を行います。

リカレント教育のメリット

社会人が学び直しをすることによって、スキルアップにつながり、結果として個人・企業の双方にとって良い影響を及ぼします。

ここではリカレント教育の下記の3つのメリットを詳しく解説します。

  • 市場価値を高められる
  • 年収アップにつながる
  • キャリアの選択肢が広がる

市場価値を高められる

リカレント教育によって自身のスキルアップをすることで、社会から求められる人材になることが可能です。高度なスキルを身につけることで、将来AIに仕事を奪われるリスクが低下し、長期的に就労することができます

また、学び直しを経験することで、学習習慣が身につくこともメリットです。VUCA時代の今、社会情勢の変化に対応するには、必要なタイミングで最新のスキルを習得することが求められます。自発的な学習を経験することで、その後も効率よく学びを継続することができるでしょう。

「VUCA」についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。ぜひあわせてご参考ください。

★(VUCA)

年収アップにつながる

リカレント教育は年収の増加にもつながるでしょう。高い専門性や業務スキルを身につけることで、手当の支給や昇進・昇格の条件を達成する可能性が高まります。

内閣府は、自己啓発を実施した人の年収は、自己啓発をしていない人と比べて2年後に約10万円、3年後に約16万円増加するという調査結果を発表しています。リカレント教育を受けることで、長期的な年収の増加が見込めるかもしれません。

参考:内閣府「第2章 人生100年時代の人材と働き方」

キャリアの選択肢が広がる

スキルや資格を手に入れることで、在宅ワーカー、フリーランス、副業、複業などの多様な働き方から自分のキャリアを選択できるようになります。出産・育児、介護、病気などで一時的に仕事から離れていた場合にも、復職や再就職のチャンスが広がるでしょう。

また、現在勤めている企業で長期間働くつもりでも、情勢の変化により会社を去らざるを得ないケースも考えられます。仕事に役立つスキルがあれば幅広い企業で必要とされるため、企業に依存しなくてもキャリアの立て直しが可能です。

学び直し・リカレントの行い方

社会人の学び直し・リカレントは、自分で学ぶ目的や内容、学び直す方法を決めなければなりません。そのため、事前の情報収集が重要なポイントです。ここからは学び直し・リカレントの行い方を解説します。

1.学ぶ目的・学び直したいことを決める

「せっかく学んだのに仕事に活かせない」「キャリアアップにつながらない」という結果を避けるために、最初に「学ぶ目的」を明確にします。

リカレント教育自体は、キャリアアップするための「手段」です。

目先の資格取得や学ぶことを目的とするのではなく、学んで何を得たいのか、その先にある目的を明確にしましょう。目的から外れたことばかり学んでいると結果的にその学びは活かせなくなり、時間とお金の無駄になってしまいます。

何を選択すればいいのかわからない人は、10年後、20年後にも需要がありそうな業界や職種、自分が長期的に取り組めそうなことを考えてみましょう。

2.学び直す方法を決める

続いて、自分のライフスタイルなどにあわせて、学び直す方法を選択します。主な方法は次の通りです。

  • 社会人大学院
  • 通信大学
  • オンラインスクール
  • セミナー
  • 書籍
  • 学習アプリ
  • 資格専門校

学び直しに積極的になれない要因として「時間がない」「(大学等に)通うのが面倒」「お金がない」などがあげられます。オンラインスクールや通信制大学は学びたい科目を絞れるプログラムもあるため、比較的短期間で学習できます。在宅で履修できる方法を選択するのであれば、限られた時間の中でも続けやすいでしょう。

リカレント教育に関する支援制度

厚生労働省では、リカレント教育に関するさまざまな支援制度を整えています。要件を満たしていれば、給付金を受けることも可能です。ここでは支援制度を4つ取り上げ、それぞれの概要、主な対象者、支援内容について解説します。

※個別の制度の最新の情報は、各制度の公式サイトでご確認ください。

教育訓練給付金

「教育訓練給付金」は、働く人のスキルアップやキャリアアップへ向けた学びを支援する制度です。厚生労働省が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の20%~70%の給付が受けられます。

対象の講座は、資格の取得を目的とした講座など、約14,000もの講座があります。オンラインや土日に受講できる講座もあるため、仕事と学び直しの両立がしやすいでしょう。

ただし、教育訓練給付金を受けるには、雇用保険の加入期間などの条件があります。詳しくは厚生労働省のページをご確認ください。

参考:厚生労働省「教育訓練給付制度」

高等職業訓練促進給付金

「高等職業訓練促進給付金」は、厚生労働省と自治体が、ひとり親の方を対象に経済的な自立や就業に向けて支援する制度です。20歳未満の子を扶養しているひとり親の方が、資格取得のために修業する際に月額最大14万円の給付金を受けられます。

都道府県の長が指定した資格が対象となっており、看護師や保育士などの国家資格が中心です。細かな支給要件や支給期間は厚生労働省のサイトから確認できます。

参考:厚生労働省「母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業の実施について」

キャリアコンサルティング

「キャリアコンサルティング」はキャリア形成に向けた支援のことです。

在職中の方向けの「キャリア形成サポートセンター」では、キャリアコンサルタントにキャリアに関する無料相談ができます。相談内容に応じてキャリアプランの作成や助言をもらえるため、キャリア形成に役立てられるでしょう。

また、キャリアコンサルタントは個人で活動しているケースがあり、個別に相談を依頼することも可能です。「キャリコンサーチ」は、国の名簿に登録しているキャリアコンサルタントを検索・マッチングできるシステムです。キャリアコンサルタントによって相談にかかる費用は異なりますが、検索サービスは誰でも無料で利用できます。

参考:キャリア形成サポートセンター

参考:キャリコンサーチ

公的職業訓練(ハロートレーニング)

「公的職業訓練(ハロートレーニング)」は、希望する職業への就業やキャリアアップに向けて、必要なスキルや知識を学習できる制度です。在職中・求職中の方を対象に、IT、製造、理美容など幅広い訓練コースがあります。

受講料は基本的にかかりません(在職者は有料)。訓練期間はコースによって異なりますが2日~2年の間です。託児サービスつきの訓練もあり、子育て中の方でも利用しやすい仕組みが整っています。受講の申し込みや手続きはハローワークで行いましょう。

参考:厚生労働省「職業訓練(ハロートレーニング)」

リカレント教育で自分をアップデートしよう

学び直し・リカレントで仕事に必要なスキルを身につけることにより、社会の変化に対応でき、キャリアの選択肢も広がります。

学び直しは目的ではなくあくまで手段です。仕事に役立てるには、今後のキャリアプランを考えたうえで、必要な知識・スキルを選択する必要があります。また、学習環境を整えるために、自分のライフスタイルにあわせた学習方法を見つけることも大切です。

さまざまな支援制度を活用しながら、将来に向けて自分をアップデートしてみてください。

 

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