生産性とは? 業務効率化との違いやチームの生産性を上げるポイントを解説
人手不足が深刻化する日本では、企業の生産性向上が必要不可欠とされています。現場のリーダーとして、チームの生産性向上に取り組んでいるものの、思うような成果が出ずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、生産性とは何か、チームの生産性が上がらない理由やチームの生産性を上げるポイントなどについて紹介します。
生産性とは
生産性は、「物的生産性」と「労働生産性」の2種類に分類されます。ここでは労働者がどれだけ効率的に成果を出したかを示す「労働生産性」について、以下の2つの視点に立って解説します。
- 生産性の意味と定義
- 生産性向上と業務効率化の違い
1つずつ詳しく見ていきましょう。
生産性の意味と定義
ビジネスにおける生産性とは、労働力や設備、原材料などを投入したことで得られる成果量の割合を表す言葉です。
ヨーロッパ生産性本部(EPA)では、生産性は「生産諸要素の有効利用の度合いである」と定義づけられています。生産諸要素とは、設備、エネルギー、原材料、資材、労力など、生産に必要な要素です。
投入した生産諸要素に対し、成果量が大きければ生産性は高く、成果量が小さければ生産性が低い状態です。
関連記事:公共財団法人日本生産性本部「生産性運動について|生産性とは」
生産性向上と業務効率化の違い
生産性向上と似た言葉に、「業務効率化」があります。
業務効率化とは、時間や費用などのコストを減らし、効率的な業務遂行を目指す取り組みのことをいいます。一方、生産性向上とは、少ない生産諸要素で、大きな成果量を目指すことです。
業務効率化は、生産性の向上を実現する手段の1つであると覚えておくとよいでしょう。
チームの生産性が上がらない主な理由
チームの生産性が上がらない主な理由には以下のようなものが挙げられます。
- 長時間労働や残業が多い
- 業務量が適切でない
- トップダウン体制が強すぎる
- コミュニケーションが足りていない
具体的にどのような内容か、理解していきましょう。
長時間労働や残業が多い
長時間労働や残業が多いことは、チームの生産性が上がらない理由になり得ます。多くの労働時間を費やすだけで、生産性が向上するとは限りません。
長時間労働はプライベートの時間を削ることとなり、睡眠時間も減少します。睡眠時間が減少すると、集中力が低下しミスが多くなりがちです。個人のミスは、チームのパフォーマンスに影響を与え、生産性の低下につながります。
業務量が適切でない
人手不足や管理者のマネジメント能力不足などにより、オーバーワークが常態化している場合も、チームは疲弊し、生産性は上がりません。
複数のタスクを同時進行するマルチタスクでは、業務停滞防止に有効とされる一方、オーバーワークになりやすいため注意が必要です。時間が足りず、常に慌ただしい状態では、生産性が低下するだけでなく、仕事の質を下げる要因にもなります。
トップダウン体制が強すぎる
上司が意思決定を行い、部下に伝達するトップダウン体制は、意思決定から実行までの迅速さが特徴です。
ただし、トップダウン体制が強すぎると、指示がなければ動けないメンバーを生み出すことになりかねません。そうなると、生産性を向上できないばかりか、部下の成長の妨げになることもあります。
また、トップダウン体制には、現場の意見が反映されにくいというデメリットがあります。解決すべき課題の発見や対応が遅れることも、生産性が上がらない理由といえるでしょう。
コミュニケーションが足りていない
チームの生産性を上げるためには、円滑なコミュニケーションが欠かせません。
コミュニケーションが不足していると、情報共有ができず、チームワークに影響を及ぼします。情報共有ができていないと、各メンバーが抱えている業務の進捗状況も不透明です。認識のズレが生じ、業務遂行に支障をきたし、大きなトラブルへと発展する恐れもあります。
チームの生産性を下げるだけでなく、顧客の信用を失い、組織にとっても大きな損失にもなりうるため注意しましょう。
チームの生産性を上げるためにリーダーが取り組むべきこと
チームの生産性を上げるために、リーダーが取り組むべきことは以下の通りです。
- 業務の見える化や仕組み化を実施する
- メンバーのスキルや知識、能力を把握する
- メンバーの心理的ケアやモチベーションアップに取り組む
- 働きやすい職場環境へと改善する
各詳細を解説していきます。
業務の見える化や仕組み化を実施する
業務の見える化とは、「いつ、どこで、誰が、どのような業務に取り組んでいるか」を誰からでも見える状態にすることです。適切な業務の割り振りが明確になり、トラブルや課題の早期発見にもつながります。
仕組み化とは、誰が取り組んでも同じ成果を出せる仕組みをつくることです。書類作成やデータ入力などの定型業務を仕組み化すれば、効率よく業務をこなせるだけでなく、ミスや間違いを減らしやすくなり、生産性の向上が目指せます。
業務の見える化や仕組み化には、進捗状況が一目で分かる進捗管理表やマニュアルの作成が有効です。業務の進捗をメンバー全員で共有できる、ITツールの導入も検討するとよいでしょう。
メンバーのスキルや知識、能力を把握する
スキルや知識、能力などは、メンバーによって異なります。
リーダーはメンバーの個性やそれぞれの強み・弱みなどを把握することで、それぞれの特性を活かした人材配置が可能です。メンバーごとに本人の得意分野を任せる方が、チームの生産性も上がるでしょう。
メンバーの特性を把握するために日頃の仕事ぶりを観察することも、リーダーの大切な仕事です。本人が気づいていない強みを見つけ出せれば、より適切な役割分担が可能となり、さらなる生産性の向上が期待できるでしょう。
メンバーの心理的ケアやモチベーションアップに取り組む
メンバーの心理状態はチームの生産性に大きな影響を与えるため、リーダーはメンバーの心理ケアやモチベーションアップに取り組む必要があります。
悩みやストレスを抱えている状態では、仕事に対するモチベーションが低下し、生産性は上がらないでしょう。メンバーの心理状態が良くなれば、仕事に対して意欲的に取り組むことができ、生産性の向上が期待できます。
メンバーの心理状態や健康状態を把握する方法として、リーダーと1対1で対話する1on1や、先輩が後輩をサポートするメンター制度などがあります。
働きやすい職場環境へと改善する
働きやすい職場環境とは、メンバーが快適に働くことができ、健康でいられる環境のことです。具体的には、オフィス内にリラックスできる休憩所を用意したり、コミュニケーションが取りやすいレイアウトにしたりするなどが挙げられます。
また、福利厚生の充実や教育体制の整備なども、働きやすい職場環境に含まれます。
働きやすい職場環境はメンバーのモチベーションにポジティブな影響を与え、結果として生産性の向上も促せます。ただし、その場の快適さだけに囚われず、あくまで仕事の精度を上げるための改善策の検討が必要です。
「働きやすさ」の捉え方は人によって異なります。実際に働くメンバーに配慮し、様々な視点からアプローチしましょう。
生産性を向上させるリーダーの人物像
チームの生産性を向上させられるリーダーには、以下のような特徴があります。
- 行動力があり、ブレない意思を持っている人
- 作業の価値を意識でき、明確な言葉で表現できる人
- メンバーとの適切なコミュニケーションを進められる人
1つずつチェックしましょう。
行動力があり、ブレない意思を持っている人
生産性を向上させるリーダーとは、メンバーの先導を切り、自ら率先して行動できる人物です。口先だけの指示ではメンバーの信頼を損なう恐れがあり、生産性は低下してしまうでしょう。
また、ブレない強い意思を持つことも大切なポイントです。良いチーム作りにメンバーの意見を取り入れることは大切ですが、それぞれの意見に左右されてばかりいては、リーダーとしての威厳がなくなり、頼りない印象を与えます。
メンバーからの信頼低下はチームの生産性に影響を与えるため、リーダーには一貫性のある行動力が求められます。
作業の価値を意識でき、明確な言葉で表現できる人
作業は、付加価値を与えるための「付加価値動作」、付加価値動作を成立させるための「付随動作」、作業目的に関係のない「無駄な動作」の3つに分類できます。生産性を向上できるリーダーは常に作業の「価値」を考え、「無駄」を省くための改善を意識しています。
加えて、なぜ改善が必要なのか、どのような行動を取るべきなのかなど、誰にでも理解できる言葉で表現できる力も必要です。ただ改善点を伝えるのではなく、その意味と目的を伝えられることも、生産性を向上させるリーダーの特徴の1つと言えるでしょう。
メンバーとの適切なコミュニケーションを進められる人
生産性を向上させるリーダーには、メンバーと円滑な意思疎通を行えるコミュニケーション能力も欠かせません。
日常的に積極的な会話をすることはもちろん、適切なタイミングで褒めたり、率直なフィードバックを行ったりすることもコミュニケーションの1つです。ミスがあった際にはメンバーを責めるのではなく、チームとして再発防止に務めることでメンバーとの信頼関係が構築できます。
時にメンバーを信頼し、仕事を任せることも大切です。「仕事を任されている」という意識が生まれ、育成の機会につながり、チームの生産性の最大化が期待できます。
生産性はリーダーの意識次第で変わる
生産性とは、投入した生産諸要素から得られる成果量の割合です。企業が成長し、発展をするためには、常に生産性の向上を意識しなくてはなりません。
チームの生産性を上げるためには、業務の見える化やメンバーの心理的ケアなど、リーダーの積極的な取り組みが重要です。リーダーとしての意識や役割を自身が把握し、行動することで、チームの生産性は大きく向上するでしょう。
チームの生産性を上げるリーダーの資質は、訓練次第で誰もが身につけられます。積極的に学び、行動していくことで、チームの生産性向上を目指しましょう。
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