多様な働き方とは?働き方の種類や企業にとってのメリットを解説
2019年から働き方改革関連法が順次施行され、多様な働き方の受け入れが推奨されはじめました。多くの企業で長時間労働の削減やテレワークの導入、女性が働きやすい環境づくりなど、さまざまな取り組みが行われています。
多様な働き方の受け入れを考える企業が増え、働き方についてもダイバーシティという言葉が使われる機会も増えました。
今回は、多様な働き方とはなにかについて解説します。企業が多様な働き方を提供するメリットや解決すべき課題についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
多様な働き方とは
多様な働き方とは、働く人誰もがワークライフバランスを追求しながら、無理することなく、自らが望むスタイルで労働することを意味します。
時間や場所、雇用形態など従来の枠組みにとらわれることなく、一人ひとりの生活事情やライフスタイルに応じた働き方をしようという考え方です。現代社会では、労働とプライベートを切り離して考えるのではなく、生活全体と捉えることが求められています。
多様な働き方が求められている背景
なぜ今、多様な働き方が求められるようになったのでしょうか。具体的な背景について解説します。
- 少子化による生産年齢人口の減少
- 働く人のニーズや考え方の変化
それぞれ解説します。
少子化による生産年齢人口の減少
少子高齢化に伴い、日本の生産年齢人口(国内の生産活動を支える15歳以上65歳未満の人口)は急速に減少しています。生産年齢人口とは、国内の生産活動を中心となって支える層のことで、15歳以上65歳未満の人が該当します。
生産年齢人口の減少によって、企業は限られた労働力をどのように活用するかという課題を抱えています。優秀な人材を確保するためには、労働条件の選択肢を広げ、多様な働き方を受け入れる環境作りが必須と言えるでしょう。
働く人のニーズや考え方の変化
多様な働き方が求められている背景のひとつに、時代の移り変わりによる働く人のニーズや考え方の変化があげられます。
「育児や介護と両立しながら働きたい」「自分の好きな時間や場所で働きたい」というように、ワークライフバランスを重視できる労働環境へのニーズが高まっています。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、急速にテレワークの導入が進んだことも、働く人の考え方を大きく変化させたと考えられます。
多様な働き方の一例
多様な働き方には、具体的にどのような働き方があるでしょうか。ここでは、一例を紹介します。
- フレックスタイム制
- 短時間勤務制度
- テレワーク(在宅勤務)
- 副業や兼業
- 業務委託
それぞれ詳しく見ていきましょう。
フレックスタイム制
フレックスタイム制とは、一定の期間についてあらかじめ定められた総労働時間の範囲内で、労働者が始業・終業時刻、その日の労働時間を自ら決めることができる制度です。労働者は、プライベートと仕事のバランスを取りながら、効率的に働くことができます。
これまでのフレックスタイム制は清算期間の上限が1ヶ月までとされていましたが、2019年4月の法改正により、清算期間の上限が3ヶ月に延長されました。これにより、労働時間の調整が行いやすくなり、さらに柔軟な働き方が可能となりました。
参考:厚生労働省「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」
短時間勤務制度
短時間勤務制度とは、1日の労働時間を短縮して勤務する制度です。厚生労働省が定めた育児・介護休業法によって事業主に制度の導入が義務付けられています。
育児の場合、3歳に満たない子どもを養育している労働者が対象です。介護の場合、要介護状態である対象家族を介護している一定条件で働く労働者が制度の対象です。どちらの場合も対象者は、原則1日の労働時間を6時間に短縮することができます。
短時間勤務制度は、育児や介護によりフルタイムで働くことが難しくなった人をサポートできる仕組みです。雇用の安定を確保でき、人材の流出防止など、企業側にもメリットがあります。
テレワーク(在宅勤務)
テレワークとは、ICT(情報通信技術)を活用し、オフィス以外の場所で働く労働スタイルです。コロナウイルス感染症の拡大により、新しい働き方として定着しつつあります。
通勤に伴うストレスが軽減されるのに加え、自分の好きな場所で仕事ができるため、自分の価値観に合ったワークライフバランスが実現しやすい働き方といえるでしょう。
働く場所が自宅などの社外であっても、労働基準法や労働安全衛生法は適用されます。企業は労働者に労働条件を明示し、労働時間を適正に管理しなくてはなりません。
副業や兼業
副業とは、本業の仕事以外の仕事を指します。本業が終わったあとの時間や週末などの空き時間を活用して行うケースが一般的です。一方、兼業は本業以外の事業を同時並行して掛け持ちして働くことです。
2018年1月、厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定したことから、副業を認める企業が増加しています。
副業や兼業は、労働者の所得増加やスキルアップ、将来的な起業や転職につながるだけではありません。企業にとっても、労働者のスキルアップやキャリア形成、優秀な人材の確保といったメリットが得られます。
業務委託
業務委託とは、企業が業務の一部または全てを、外部の事業者や個人に委託することを指します。企業との間に雇用契約を結ぶ正社員とは異なり、業務委託は雇用関係が生まれません。そのため、委託側と受託側の立場は対等です。
いままで雇用契約を結んだ会社で行っていた仕事を、フリーランスになって業務委託化することで、時間や場所に縛られない自由な働き方が可能となります。
自分らしい働き方やキャリアアップを目的としてフリーランスとして働く人(フリーランサー)が増えている中、国もフリーランサーが安心できる労働環境の整備に取り組んでいます。
参考:厚生労働省「フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ」
企業が多様な働き方を提供するメリット
企業が多様な働き方を提供するためには、制度の見直しが必要なケースが多いです。そのため、多様な働き方の受け入れに消極的な企業も少なくありません。しかし、多様な働き方は労働者にとってメリットがあるだけでなく、企業側にとってもメリットがあります。
企業が多様な働き方を提供することによって、どのようなメリットが得られるのかを確認しておきましょう。
- 生産性向上
- 優秀な人材の確保・定着
- コスト削減
- 企業イメージの向上
それぞれ見ていきましょう。
生産性向上
企業が多様な働き方を提供することで、組織全体の生産性向上が期待できます。
例えば、テレワーク導入により従業員の通勤時間を削減できます。単純に移動時間を減らせるだけでなく、通勤で感じていたストレスから解放された状態で業務に取り組めるようになります。
ワークライフバランスが向上することで、仕事に対する意欲が高まり、生産性の向上が期待できるでしょう。
優秀な人材の確保・定着
多様な働き方が浸透しつつある現在、自由な働き方を受け入れている企業に人気が集まります。多様な働き方ができることをアピールすることで、求人募集でも有利に働き、多くの応募者の中から優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。
また、居住地を選ばない働き方は、遠隔地や海外在住の優秀な人材を雇用することも可能です。配偶者の転勤や家庭の事情といった移住による離職を防ぎ、優秀な人材の定着を促すことも可能です。
コスト削減
多様な働き方を受け入れ、在宅勤務者が増えた場合、企業が支給する通勤交通手当は大幅に減少します。労働者が自宅やコワーキングスペースを利用することにより、オフィスの家賃、光熱費などの節減ができるでしょう。
企業イメージの向上
多様な働き方を受け入れ、企業イメージを向上することができれば、企業のさらなる成長も期待できるでしょう。モノやサービスを提供する企業の場合、企業イメージが商品の購買促進につながる可能性もあります。
多様な働き方を推進するために解決すべき課題
多様な働き方を推進するためには、解決すべきいくつかの課題があることも理解しておく必要があります。
どのような課題があるのか事前に確認し、よりスムーズに多様な働き方を推進できるよう備えましょう。
- 労働時間・残業時間の管理が難しい
- マネジメント層の負担が増える可能性がある
- 定着までに時間・手間がかかる
- コミュニケーション不足に陥りやすい
それぞれ解説します。
労働時間・残業時間の管理が難しい
多様な働き方により、上司など管理者の目が届かない場所や時間帯での仕事もできるようになりました。一方で、例えばテレワークの導入により、公私の区別がつかず、時間外労働が増えてしまうケースも問題視されています。
従業員への教育はもとより、労働時間管理ツールの導入、リモートでも対応できるメンタルヘルスケア等の導入が必要となるケースもあるでしょう。労働時間の管理を適切に行い、従業員の心身の負担への配慮も行いましょう。
マネジメント層の負担が増える可能性がある
多様な働き方を受け入れることで、従業員はライフワークバランスが取りやすくなります。その一方で、マネジメント層の負担が増加する可能性があることは押さえておきましょう。
労働環境の改善や新しいマニュアル作成といった業務は、マネジメント層が率先して行う必要があります。通常の業務に加え、新たな業務が加わるため、マネジメント層の負担の増大が懸念されます。
定着までに時間・手間がかかる
多様な働き方は、短期間で実現できるものではありません。多様な働き方の取り組みを初めてから定着するまでには、ある程度時間を要することを覚えておきましょう。
そのため、すべてを一度に変えようとするのではなく、少しずつ新しい制度を導入すると良いでしょう。導入した制度を検証し、改善を重ねることで多様な働き方の定着化が実現できます。
コミュニケーション不足に陥りやすい
テレワークの導入は、生産性向上やコスト削減といったメリットがある反面、従業員によって働く場所や時間が異なるため、従業員同士のコミュニケーション不足が課題となります。
組織内のコミュニケーション不足は、チームワークにも影響を及ぼす可能性があります。気軽に意思疎通がとれるコミュニケーションツールの導入やルールの策定など、コミュニケーション手段の確保をすると良いでしょう。
多様な働き方で企業や人を成長させよう
働く人の価値観の多様化や少子高齢化による生産年齢人口の減少などにより、多様な働き方の取り組みが急速に進んでいます。
多様な働き方の実現は、労働者のワークライフバランスの充実や個人の尊重につながります。企業にとっても、生産性の向上やコスト削減、さらには企業イメージの向上による優秀な人材の確保など、多くのメリットが得られる取り組みです。
また、多様な働き方の推進は、障がい者や高齢者の安定的な雇用など、社会的な課題解決になりえます。
フレックスタイム制や短時間勤務制度などを活用しながら、一人ひとりの従業員がより良い将来に展望を持てる多様な働き方に取り組み、企業の発展と成長を目指しましょう。
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