アサーティブコミュニケーションとは? 意味やポイントとなる4つの柱を解説
ビジネスのグローバル化が進み、多様な属性や価値観の受け入れも現代のビジネスパーソンには求められています。そんな中、相手を尊重しつつ、自分の意見を率直に伝える「アサーティブコミュニケーション」に注目が集まっています。
本記事では、アサーティブコミュニケーションとは、どのようなコミュニケーションスタイルかを解説します。職場で取り入れるメリットやアサーティブコミュニケーションに役立つDESC法についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
アサーティブコミュニケーションとは
アサーティブコミュニケーションとは、「Assertive(アサーティブ)」と「Communication(コミュニケーション)」の2つの単語を組み合わせた言葉です。
アサーティブには、「自己主張すること」という意味があります。自己主張と聞くと、「自分の意見や考えを押しつける」というやや強引な印象を受けますが、ここでは、相手の気持ちを尊重した上で自分の意見を伝えることを指しています。
つまり、アサーティブコミュニケーションとは、一方的に意見を伝えるのではなく、相手に配慮しながらも自分の意見を正確に伝えるコミュニケーション方法です。
アサーティブコミュニケーションは「アサーション」と呼ばれることもありますが、意味に違いはありません。
アサーティブコミュニケーションに関連するコミュニケーションスタイル
コミュニケーションスタイルには、「アサーティブ」のほかにも2つの種類があります。
- アグレッシブ
- ノンアサーティブ(パッシブ)
これらのコミュニケーションは、アサーティブコミュニケーションとどのような点が異なるのでしょうか。アサーティブコミュニケーションについてより理解するためにも、各コミュニケーションスタイルについて確認しておきましょう。
アグレッシブ
アグレッシブとは、相手の気持ちを配慮せず、自分の意見を一方的に主張するコミュニケーションスタイルです。
自分の意見を最優先とするため、相手の気持ちを軽視しがちです。自分の意見を否定された場合には、 表情や声のトーンで圧迫感を与えたり、相手の話を途中で遮ったりなど、攻撃的な態度を取ることもあるでしょう。
アグレッシブには「積極的」「行動的」という意味もあり、褒め言葉としても使用されます。しかし、コミュニケーションにおけるアグレッシブとは、「攻撃的な自己表現」と解釈され、ネガティブな意味が含まれます。
ノンアサーティブ(パッシブ)
ノンアサーティブ(パッシブ)とは、自分の意見よりも相手を尊重する、自己主張のないコミュニケーションスタイルです。
常に受け身で相手の意見を優先するため、意見の食い違いによって衝突したり対立したりすることはありません。ただし、自分の意見をうまく伝えられないが故に、無理のある意見や要求でも受け入れてしまいがちです。
表面上は穏やかですが、内面では納得できておらず、不満を感じていることもあります。精神的ストレスや不満を溜め込む傾向があり、好ましいコミュニケーションスタイルとはいえないでしょう。
アサーティブコミュニケーションを職場で取り入れるメリット
相手の気持ちに配慮し、円滑な意思疎通を図るアサーティブコミュニケーションは、職場でも取り入れたいコミュニケーション手法です。
アサーティブコミュニケーションを職場で取り入れる具体的なメリットは以下の3つです。
- 職場の人間関係を良好にしやすい
- 組織内の意思決定の質が上がる
- メンタルヘルスへの好影響が期待できる
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
職場の人間関係を良好にしやすい
アサーティブコミュニケーションを取り入れることで、職場での良好な人間関係を構築しやすくなります。
職場には、役職や年齢、性別、価値観、経歴など、異なる特徴を持つ人が集まります。自分と立場が異なる相手に対して、「こんなことを言ってもよいのだろうか」と本心を伝えられないこともあるでしょう。
しかし、職場でのコミュニケーションの不足は業務に支障が出るだけでなく、人間関係の悪化につながる恐れもあり、早急に解決すべき課題です。
アサーティブコミュニケーションを取り入れると、互いに安心して意見を交わせる環境が整い、良好な人間関係の構築も可能となります。
組織内の意思決定の質が上がる
組織内でアサーティブコミュニケーションが浸透すれば、会議やミーティングなどでの意見交換が活性化します。異なる視点による解決策や新たなアイデアも生まれやすくなり、意思決定の質も向上します。
変化が激しく、複雑で予測困難な現代社会では、意思決定の質が組織の成長を左右するといっても過言ではありません。組織の意思決定力が向上することは、アサーティブコミュニケーションを取り入れる大きなメリットといえるでしょう。
メンタルヘルスへの好影響が期待できる
職場で「意見が言えない」「自分の気持ちを抑え込んでしまう」といった気持ちを抱えていては、メンタルヘルス(こころの健康)に悪影響を与えかねません。
アサーティブコミュニケーションが実践できれば、自分の考えや意見を率直に表現できるようになります。その結果として、相手の顔色を気にしたり我慢したりするなどの人間関係のストレスが軽減すれば、メンタルヘルスへの好影響が期待できます。
ストレスの少ない職場環境では、業務にも意欲的に取り組めるようになり、仕事に対するモチベーションは上がるでしょう。加えて、人間関係を起因とした離職も減少し、従業員の定着率向上も期待できます。
アサーティブコミュニケーションの4つの柱
アサーティブコミュニケーションについては、以下の4つの柱を理解することが大切です。
- 自己責任
- 誠実さ
- 素直さ
- 対等
これら4つの柱を意識することで、自然とアサーティブコミュニケーションを身につけられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
自己責任
アサーティブコミュニケーションでは、自分の言動一つひとつに責任を持つことが重要です。
たとえ自分の発言や行動で思うような結果が得られなかったとしても、「自分は悪くない」「タイミングが悪かった」といった責任転嫁はするべきではありません。
発言した結果だけでなく、発言しなかった結果も自己責任です。「本当はこう思っていた」と後出しの言い訳も避けたほうがよいでしょう。
どのようなことも自分の発言が招いた結果として受け入れることで、自然とアサーティブコミュニケーションが身につきます。
誠実さ
誠実とは、嘘偽りなく、思いやりを持って人と向き合うことです。アサーティブコミュニケーションでは、相手だけでなく、自分の心にも誠実であることが重要です。
相手を優先しすぎるあまり、自分の意見を曲げたり、無理に賛同したりすることは誠実とはいえません。相手と自分の意見が異なる場合は、相手の意見を尊重した上で、自分の意見も伝えるようにしましょう。
相手にも自分自身にも平等で誠実な態度を取ることで、互いが納得できる結論を導き出せるようになり、不要な対立を回避できます。
素直さ
相手に自分の意見や気持ちを伝える時は、素直に表現することが大切です。曖昧な表現や遠回しな言い方は、相手に真意が伝わらず、誤解を招く可能性があります。
率直に伝えるコツは、主語を自分にすることです。「他の人も〇〇と言っていた」という、第三者が主語の主張は素直とはいえません。「私は〇〇だと思う」「私は〇〇したい」など、主語を自分にすることで、相手を尊重しながら自己主張もできます。
嘘偽りのない素直な表現により、スムーズなアサーティブコミュニケーションが可能となります。
対等
相手と対等な関係で意見を交換するのが、アサーティブコミュニケーションです。
相手より立場が下だからといって、卑屈になったり我慢したりする必要はありません。反対に、相手より立場が上の場合には、自分の意見を押しつけたり高圧的になったりすることは避けましょう。
相手が誰であろうと、対等な態度を保つことを心がけましょう。
アサーティブコミュニケーションに役立つ「DESC法」
アサーティブコミュニケーションの実践には、「DESC(デスク)法」と呼ばれるコミュニケーションスキルが有効です。
DESC法では、自己主張の方法を「Describe(描写)」「Explain(表現)」「Specify(提案)」「Choose(選択)」の4ステップに分解します。
4つのステップに沿って会話を進めることで、相手に配慮しながら自己主張ができるアサーティブコミュニケーションの実践が可能となります。
ステップ | 詳細 |
---|---|
Describe(描写) |
・自分や相手の行動や状況など、事実のみを客観的かつ具体的に描写して伝える ・推測や感情は含めない |
Explain(表現) |
・描写で共有した客観的事実や状況に、自分の意見を加える ・感情的になるのではなく、冷静かつ理性を持って伝えることがポイント |
Specify(提案) |
・相手に望むことを具体的かつ丁寧に伝える ・あくまでも提案として伝え、相手に命令や強制することは避ける |
Choose(選択) |
・提案に対する相手の反応に合わせて、代替案を示したり、再度話し合いをしたりなど自分の取るべき行動を提示する |
アサーティブコミュニケーションは職場にこそ有効な手法
アサーティブコミュニケーションは、相手も自分を尊重できる、バランス型のコミュニケーションスタイルです。
自分とは異なる意見を持つ人とも円滑なコミュニケーションが取れるだけでなく、自分の意見や感情を抑圧することなく自己主張ができるコミュニケーション方法です。職場の良好な人間関係の構築に役立つため、積極的に身につけるべきスキルであるといえます。
アサーティブコミュニケーションをはじめ、様々なスキルを習得することで、多様な変化が続く現代でも活躍できるビジネスパーソンを目指していきましょう。
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