キャリアオーナーシップとは?意味や取り組み例を紹介

「キャリアオーナーシップ(キャリア自律)」とは、個人が主体的に自分のキャリアについて意識し行動することを意味します。働く環境が大きく変化している近年、「キャリアオーナーシップ」の形成は、大きな意義を担っています。

本記事では、キャリアオーナーシップが重要視される背景やメリット・デメリット、取り組みの例を詳しく解説します。

キャリアオーナーシップ(キャリア自律)とは

「キャリアオーナーシップ」とは、自らのキャリアに責任を持ち、主体的に考え行動することです。キャリアオーナーシップは日本で生まれた造語で、「キャリア自律」と呼ばれることもあります。

キャリアオーナーシップは、企業ではなく従業員個人が主体となってキャリア開発を行うという考え方です。日本ではこれまでキャリア形成を企業に任せる風潮がありました。

しかし、現代は変化が激しく、企業経営も不安定な時代です。一度企業に入社すれば一生安泰とは言い切れないからこそ、自律的にキャリアを形成していく必要が出てきました。

経済産業省はスキルアップの方法として「リスキリング」を推奨しています。今後は社会人として働きながら主体的に学び直し、仕事に活かすことが一般化していくでしょう。

キャリアオーナーシップが重要視されている背景

キャリアオーナーシップはなぜ重要視されているのでしょうか。ここでは2つの社会的背景を解説します。

「人生100年時代」の到来

キャリアオーナーシップが重要視される背景に「人生100年時代」の到来があります。人生100年を前提とすると、定年後も約40年の期間があります。

生涯にわたり安定した生活を送るためにも、一人ひとりが自らのキャリアを考え、ライフステージにあわせて働き続けることが求められるようになりました。

定年後も同一企業に再就職するという選択肢だけではなく、別の仕事をすることも視野に入れてキャリア形成をすることで、生きがいのある働き方が人生の後半で送れる可能性が高まります。

終身雇用や年功序列制度からの脱却

近年は転職者が増加傾向にあることから、成果主義やジョブ型雇用などの欧米型の人事制度へ移行する企業も増えてきました。これまで主流であった終身雇用や年功序列制度から脱却し、新しい働き方が一般化しつつある状況と言えます。

これからは転職も視野に入れながら、多様な働き方ができるよう自らキャリア開発をしていく必要があるのです。

企業がキャリアオーナーシップを推進するメリット

企業がキャリアオーナーシップを推進すると社員の意識が変わり、モチベーションアップによる生産性の向上や人材流出防止など社内に良い影響を及ぼす可能性が高まります。ここからは具体的なメリットを3つ解説します。

生産性が向上する

「主体的に考え行動する人材」を育成できるため、社内全体の業務効率化や生産性の向上につながります。社員一人ひとりの強みや専門性も高めることができ、個々の適正にあった人材配置もしやすくなるでしょう。

自律した人材が育つ

企業がキャリアオーナーシップを推進することで、社員一人ひとりが自身のキャリアについて真剣に考え、行動することができるようになります。

組織や社会において自分が求められている役割や発揮できるスキルを意識することで、上司などの指示がないと動けない、いわゆる「指示待ち人材」から脱却することが可能です。

自律した人材が多く育つことで、士気の高い職場環境が整い、強い組織に成長できるでしょう。

社員の満足度や帰属意識が高まる

社員の満足度や組織への帰属意識は、仕事で高いパフォーマンスを出すために欠かせません。

1on1ミーティングやキャリア面談などでキャリアオーナーシップを推進することで、社員はキャリア開発を支援してくれる企業に対して、満足感を抱くことができます。

結果として、仕事へのやりがいやモチベーションを高く維持することができ、組織力をより強化することにつながるでしょう。

企業によるキャリアオーナーシップ推進の注意点・デメリット

キャリアオーナーシップは社員と企業双方に良い影響がある一方で、必ずしもスムーズに進められるわけではないことに注意しなければなりません。ここからは、企業によるキャリアオーナーシップ推進時の留意点を2つ紹介します。

短期的な効果が見えにくい

キャリアオーナーシップは、社員それぞれが主体性を持つという意識の変化を指します。そのため、施策を進めても仕事に直結する効果がすぐには見られないことがデメリットです。

また、キャリアオーナーシップには一定の運用工数がかかるため、日々の業務で忙しい企業・組織では導入しにくい傾向にあります。

全ての社員のキャリア意識が高まるわけではない

キャリアオーナーシップを推進しても、社員全員のキャリア意識が高まるわけではありません。「出世には興味がない」「仕事よりもプライベートを大切にしたい」など、社員によって価値観が異なることもあります。

企業側が社員個人の特性や考え方を理解し、求める役割を明確にしたうえでキャリアオーナーシップを進めることが重要です。

キャリアオーナーシップ推進のための取り組み例

キャリアオーナーシップの推進には、キャリア開発の機会を提供する、副業を解禁するなどさまざまな方法があります。ここからは企業の取り組み例を4つご紹介します。

キャリアアップの促進

スキルアップやキャリアの選択肢が広がるような施策を提供する方法です。例えば、自社だけでなく、社外での活躍も目標とするキャリアアップ研修を実施することで、社員は新たな知識や価値観を学ぶことができます。

他にも、一定期間希望する部署の業務体験ができる「社内インターンシップ」、社内で人事募集を行う「社内公募」などもあります。

副業の解禁

キャリアオーナーシップ推進の一環として、副業を解禁する企業もあります。副業ではスキル習得や仕事の手続きなどを全て自分で行う必要があるため、自身のキャリアについて考えるきっかけになります。

副業によって得た知識や経験が、本業で成果を上げることにつながるケースもあるでしょう。本業との両立が難しいといった懸念点もありますが、社員のステップアップや選択肢を広げるために有効な方法です。

社員のモチベーション向上

社員それぞれが主体的に具体的なキャリアビジョンを考えるように促し、仕事に対するモチベーションを向上させる方法です。

具体的には、社員が抱える悩みを解決する「キャリアカウンセリング」や上司と部下の「1on1ミーティング」、マネジメントを学ぶ「管理職向け研修」などがあります。社員の特性にあわせて選べるよう、幅広い手段を用意すると良いでしょう。

多様な働き方の提供

企業が多様な働き方を提供することで、若年層だけでなく、中堅社員にとってもキャリアの選択肢が広がります。例えば、早期退職制度に「退職金の上乗せ」や次のキャリアに向けた休暇などの処遇を含めることで、セカンドキャリアを考える社員が主体的に活用しやすくなります。

また、柔軟な再雇用制度を整えるためには、業務委託やテレワークを導入することも手段のひとつです。社員が勤務地や勤務時間にとらわれずに働けるようになります。

多様な働き方についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

キャリアオーナーシップ(自律)で企業と人と成長させよう

近年の社会情勢の変化によって、キャリアオーナーシップの重要性は今後ますます高まっていくでしょう。企業がキャリアオーナーシップを推進することで、主体的に考え行動できる社員が増え、生産性の向上や新たなビジネス展開にもつながります。

さまざまな取り組み例を参考に企業ごとに実践可能な施策を取り入れ、企業の成長と社員が望む生き方を実現させることは、これからの日本の社会に大きな意義を持つでしょう。

 

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