キャリアとは?仕事における意味・考え方・設計方法を簡単に解説

「キャリア」には経歴や経験といった意味があり、自身の将来を考えるうえで欠かせない要素です。しかし、キャリアという言葉は理解していても、詳しい定義や概念が分からないという方もいるでしょう。

本記事では、仕事におけるキャリアの意味や考え方を詳しく解説します。企業や社会がキャリアを判断する要素や、キャリア開発をするためのポイントにも触れていますので、キャリア形成をしたい方はぜひ参考にしてください。

キャリアとは

厚生労働省は「キャリア」を次のように定義しています。

“「経歴」、「経験」、「発展」さらには、「関連した職務の連鎖」等と表現され、時間的持続性ないし継続性を持った概念”

引用:厚生労働省『「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書について』


キャリアとは、個人の長期的な職業経歴・経験・発展のことです。就職や出世といった「一つの結果」ではなく、仕事に関わる「継続的な過程(プロセス)」を意味しています。

キャリアには、過去の仕事(業種・業界)や立場(役職・地位)、スキルや知識などの「経歴・経験」、またそれを活かしていく「発展」という概念が含まれます。

つまり、これまで自身が積み重ねてきたあらゆる経験を通して、今後の働き方・仕事に関わる人生を構築していくことがキャリアなのです。

キャリアに関連する言葉

「キャリア」に関連する言葉は数多く存在します。ここでは代表的な4つの言葉を解説するため、それぞれの意味の違いを把握しておきましょう。

キャリアビジョン

「キャリアビジョン」とは、仕事や人生において自分が理想とする将来像を指します。「昇格したい」「ヒット商品を生み出したい」といった仕事上の目標だけでなく、「ワークライフバランスを整えたい」など仕事をするうえで大切にしたい価値観も含まれます。

キャリアビジョンについてはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひあわせて参考にしてください。

キャリアアップ

「キャリアアップ」とは、現在よりもさらに専門的な能力・知識を身に付け、職歴や経歴を高めることです。

キャリアアップは目標を実現するための手段であり、個人によって考え方は異なります。そのため、キャリアアップの方法は、仕事の幅を広げる、給与を上げる、昇格するなどさまざまです。

キャリアアップについてはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひあわせて参考にしてください。

キャリアデザイン

「キャリアデザイン」とは、自分の理想とする将来像やキャリアの積み方を設計することです。経歴やスキルなどの仕事面だけではなく、プライベートで叶えたい目標も含めたうえで、実現するための計画を主体的に立てていきます。

キャリアプラン

「キャリアプラン」とは、仕事における目標や理想の働き方、それを実現するための計画を立てることです。

同一企業での昇進や昇格だけでなく、転職、独立などさまざまな可能性を踏まえたうえで、仕事の目標を設定します。そのうえで、どのタイミングで何をすべきかまで具体化していきます。

キャリアの他の意味

日本語の「キャリア」には他にもさまざまな意味があります。例えば、通信事業者を表す「スマホのキャリア」、採用方法や仕事内容の違いを表す「キャリア官僚(ノンキャリア)」などです。このようにキャリアは経歴や職歴以外の意味でも使用されます。

キャリアの評価基準になる4つの要素

日本の人材市場では、個人の職歴や経験だけではなく、外的要因である社会情勢など複数の視点からキャリアの評価がされます。ここでは、個人の市場価値を決める下記4つの要素について解説します。

  • スキル・経験
  • 職歴
  • 人間性
  • トレンド

スキル・経験

仕事を円滑に進めるうえで必要なスキルや経験は、キャリアを判断する上で欠かせません。例えば、営業職についている場合は、クライアントへのヒアリング力やコミュニケーション能力、プレゼンテーションに向けた資料作成などのスキルを指します。

それに加えて、プロジェクトでの戦略立案やチームリーダーといった経験も評価基準のひとつです。スキルや経験は、企業や社会へどれほど貢献できるかを示すための重要な要素となります。

職歴

これまでの職務経歴もキャリアの評価基準です。職歴とは、在職している(していた)企業、業界や業種、役職、勤続年数などのことで、転職履歴も含まれます。

以前は同一企業に長く勤めることが良いとされる時代もありましたが、近年は転職や副業が珍しくありません。

他の企業や業界でスキルや経験を磨きたい、スキルが認められてヘッドハンティングされたなどの理由で転職を重ねる方もいるでしょう。その場合は、転職回数が多くても市場価値が高く評価される可能性があります。

人間性

個人の人間性もキャリアを評価するうえで重要な要素です。人間性には、思考や行動の特製、仕事や人生における価値観、大切にしている考え、協調性の有無やコミュニケーションの取り方などが含まれます。つまり、仕事への考え方や取り組み方が判断されます。

企業の社風は「スピード感を持って仕事を進める」「チームでの助け合いを重要視する」などさまざまです。人間性は、企業の価値観にマッチしているかの評価基準となります。

トレンド

近年、ITスキル・データ分析スキルを持つ人材の価値が高まっているように、社会のトレンドやニーズによって求められる人材は変化します。現在はニーズが高いスキルでも、将来AIや機械によって代替される可能性もあるため、新たなスキルアップのための訓練も必要になるでしょう。

今後のキャリアを考える際には、常に最新の情報を収集し、未来を予測しておくことが大切です。社会のトレンドを把握し、企業や社会から求められるスキルを身に付け続けることで、市場価値が高まります。

キャリアを考える上で重要なポイント

キャリアを考える際には、自分について深く理解したうえで、視野を広げていくことが大切です。ここからは「自分のキャリアについて考えたい」「キャリア開発をしたい」という方へ向けて、下記3つの重要なポイントを解説します。

  • 自己分析を行う
  • 5年後・10年後など中長期的に考える
  • 幅広い意見・価値観に触れる

自己分析を行う

自分を深く理解することで、今後どのようなキャリアを築きたいかが見えてきます。仕事における価値観や興味のある分野、求める給与ややりがい、どのような働き方をしたいかなどを、具体的に考えてみましょう。

自己分析が難しい方は、いくつかの方法を組み合わせることでスムーズに行えます。例えば、幼いころから現代までの出来事や行動、感じたことを記載し「自分史」を作成する、「マインドマップ」で思考を整理するなどです。

身近な友人や家族に自分の性格や長所・短所を聞くこともおすすめです。自分では気付けない新たな発見があるかもしれません。

5年後・10年後など中長期的に考える

最終的なゴールだけではなく、5年後、10年後などの年数や、20代、30代、40代などの年代で区切り、それぞれでの目標を立てることも有効です。中長期的な視点を持つことで、理想の自分に近づくために今やるべき行動が明確になります。

 

年代で区切る場合には、求められるスキルを踏まえたうえでキャリアを考えるのも良いでしょう。

 

一般的に、20代は社会人としてのマナーや仕事を遂行するための基本スキル、30代は企業にとって即戦力となること、40代は部下をマネジメントする能力などが期待されます。年代を一つの指標にすることにより、現在の自分に必要なスキルが見えてきます。

幅広い意見・価値観に触れる

業界や年代を問わず多くの人と関わることも大切です。さまざまな意見や価値観を知ることで、自身のキャリアを広い視点で考えられるようになります。

 

身近な人だけでなく、プロのアドバイスを受けたい場合にはキャリア相談(キャリアカウンセリング・コンサルティング)の活用もおすすめです。キャリア相談は、個人のキャリア形成の支援を目的としたカウンセリングのことです。

現在の仕事や将来のキャリアなど、一人ひとりの相談に応じて、カウンセラー(コンサルタント)が助言をしてくれます。キャリア相談は公的機関や民間機関によって幅広く行われており、無料で受けられるケースもあります。

キャリアプラン・キャリアアップで人生を豊かにしよう

キャリアは仕事における職歴や経歴を指し、理想とする将来像も含めて長期的な視点で考えていくものです。日本の人材市場では、これまでの経験だけではなく、人間性や社会的なトレンドも含めて総合的にキャリアが評価されます。


早くからキャリアプランやキャリアアップについて主体的に考え、実行していくことで、常に社会から求められる人材になれるでしょう。さまざまな人と話す、キャリア相談を受けるといった方法も取り入れながら、働き甲斐や生き甲斐につながるキャリアを形成していきましょう。

 

 

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